DIARY:私のローマ / オレンジの樹と、鐘の音 その10

パラティーノの丘散歩、ピニェート地区でランチ

 


 

 

 

ローマ滞在中の12月のある朝、パラティーノの丘 Palatino を散歩しました。
フォロ・ロマーノから坂を登って、丘へ向かいます。

 

 

先日は、あの時計台のあるカンピドッリオの丘からフォロ・ロマーノを見下ろしていた私でした。

 

 

フォロ・ロマーノのオリーブの樹、遠景にカンピドッリオの市庁舎。

 

市庁舎から見下ろした風景。遠くに見える鐘楼のあたりから今朝はスタート。

 

 

 

冬の朝らしく足元の野草たちが霜で白くなっていましたが、樹々には緑色のインコの大家族やコマドリなどの小鳥たちが健気に歌っていました。

 

 

 

 

ティトの凱旋門 Arco di Tito 横から丘への緩やかな坂を歩き、私の好きなモミの巨木を右手に通り過ぎ、パラティーノの丘に到着。
今朝は、パラティーノ博物館を見ながら丘をぐるっと散歩しようと思います。

 

 

雲ひとつない晴天の朝。小鳥たちの歌が響く。

 

 

 

ローマには少ないルネサンス様式の建物でもある、ファルネーゼのコテージ Casina Farnese 。

内部には上品なフレスコ画が残されています。
建物の右側一帯は、初代皇帝アウグストゥスの宮殿跡、樹々の隙間から遠くヴァチカンのサン・ピエトロ大聖堂のクーポラを望めます。

 

 

 

 

ドミティアヌス帝の宮殿、ドムス・フラヴィア Domus Flaviaの八角形の噴水跡に野ウサギがいました。
ローマの遺跡らしいのどかな風景です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パラティーノ博物館 Museo Palatinoへ。

 

 

 

 

フレスコ画の質感は、イメージの源泉になります。

 

 

 

 

実際に翼を見ながら細部を彫ったように感じる、美しい石彫作品。

 

 

 

コリント式の柱頭はアカンサスの葉が象られ装飾的。
小さい柱頭はイオニア式の渦巻きと、アカンサスが構成されています。

 

 

 

こちらが意匠のもとになった実物のアカンサスの葉。
この葉が茂った様子を見ると私はなんだか元気になります。
パラティーノにて。

 

 

スタディオ、と呼ばれる馬用の施設と想われる遺跡。

 

 

 

春から初夏は草花が咲いて花園になるパラティーノの丘です。

 

2016年5月撮影

 

 

 

 

 

 

 

この日の午後は、ローマ在住のグラフィック・デザイナー Mika さんとランチ。
Mikaさんがローマで書かれているブログを長年愛読しており、Facebookでも当時7年以上の交流がありましたが、お目にかかるのは初めてで、嬉しくてドキドキしていました。

Mikaさんからリクエストいただいていた、
ローマ在住の 翻訳家 & 名ブロガーの Mayumi さん翻訳の「レオナルド・ダ・ヴィンチの秘密」(イタリア美術史家  コスタンティーノ・ドラツィオ氏著)を日本から持参しました。

 

 

ランチはピニェート地区 Pigneto にする?
それとも旧ユダヤ人街にする?と事前にMikaさんが聞いてくださったので、城壁外のピニェート地区をご案内いただきました。

テルミニ駅前からトラムに乗り、いざ、未体験ゾーンへ。。。

 

 

 

 

 

 

グラフィティの壁が連続するピニェート地区をフェミニンなコートで颯爽と歩くMikaさんの後ろから、私は迷い猫のように慎重に尻尾を垂れて歩いていましたが、次第にスタジオや美大と似た空気を感じ、心地よくなりました。

 

 

 

 

お目当のお店、ネッチ NECCI dal 1924 に到着。
お店の壁にも粋なグラフィティが。

 

 

 

広い敷地ですが、なかなか賑わっていました。
オアシス、サンクチュアリ。
もともとはバール Bar からスタートし、地区の人々に愛されて、現在ではリストランテを兼ねた街のオアシス的存在になっているそう。
厳選した材料を使ったメニューはリストランテに限らず、パンからパスタ、デザートからビスケット、クロワッサンからアペリティフまで手作りという、大変心のこもったお店です。

 

 

材料が信頼できそうなお店だったので、お肉をチョイス。
Tagliata di Manzo con salsa verde e Puntarelle だったと思います。
赤身の牛肉のグリルに、パセリやケイパーのソースのサルサ・ヴェルデ、ローマの季節野菜プンタレッレが盛られています。

 

 

 

 

サルサ・ヴェルデはイタリアンパセリ、ニンニク、オリーブオイル、ワインヴィネガー、ケイパー、ピクルス、アンチョビ、ゆで卵などをさっぱりとあわせた緑色のソースという意味のソース。
素材の良さが際立ち、シンプルで大変美味しい一皿でした。

 

 

 

Mikaさんによると、このお店はドルチも美味しいそうなので、パスタはパスして私たちはメインだけにしました。
自家製のパンも素晴らしく美味しかったです。

 

ドルチは迷って、名物のチーズケーキをチョイス。
素材が良くてたまらなく美味しかったです! 大満足でした。

 

 

 

 

デザイナーのMikaさんからローマに関する様々なお話を伺い、刺激になりました。

1994年に私がローマで生活を始めた時、多くのローマ在住日本人の先輩方(中には芸大卒でガイドをする方も)から、絵の制作を続けたければ日本に帰った方が良いと言われ続け、また、家庭の事情もあり帰国しました。
Mikaさんのお話を伺って、今後、私らしくイタリアと関わっていきたい、と思えました。

ピニェート地区もNECCIも大好きになりました。

 

 

 

 

Mikaさんのアイディアで、別のお店へ移動。
ナツィオナーレ通り Via Nazionale 近くにある書店やギャラリーを併設した 「Doozo  どうぞ」 という、日本食のお店です。
ここでクリスマス市を開催中とのことでした。

日本に関する書籍の多さに驚き!

 

 

 

 

村上春樹 氏の作品は、イタリア人の友人達の間でも大人気ですが、左下にあるグリーンの表紙の日本映画に関する本に、大島渚 監督作品「御法度」を用いていますから、痺れました。

日本文化が愛され、浸透していることが理解できました。

 

 

 

クリスマス市のメニューも本格的で美味しそうでした(2016年のもの)。
海老入りお好み焼き、鳥の唐揚げ、豚汁、けんちん汁。。。

 

 

 

 

 

今、想うと、ここでもMikaさんと何かいただきながらお喋りすればよかったと後悔。
クリスマス市をゆっくり見て、こちらで解散しました。

Mikaさん貴重なお時間の中、おつきあいくださりありがとうございました。 

 

 

 

Doozo で求めた、イタリア人 作家 Barbara Rossetti さんの折り紙のオーナメントを見ると、この日の会話やピニェート地区のことなどが思い出されます。