DIARY:私のローマ / 長い長い夢 その17

ローマでピノッキオに会う(パラッツォ・デッレ・エスポジツィオーニ)

 


 

 

 

2020年2月のローマ滞在。

1日目の午後はナツィオナーレ通り Via Nazionare にある
パラッツォ・デッレ・エスポジツィオーニ Palazzo delle Esposizioni で開催の
ジム・ダイン(1935~  Jim Dine) の個展 初日へ。

 

 

ジム・ダインはアメリカを代表するポップ・アートの作家で、
ハートをアイコンにした作品シリーズはあまりにも有名です。
ちょうどセント・ヴァレンタインズ・デーがある時期で、
ナツィオナーレ通りのハートのディスプレイとも響きあっていました。

今回の展覧会では、イタリアとゆかりがあるテーマの
” ピノッキオ ” に焦点をあてた彼の作品群を鑑賞できるので、
大変楽しみにしていました。

 

 

 

 

展覧会はジム・ダインの回顧展的な構成と、
現場で創られたフレッシュな新作、インタビュー動画もありました。

 

 


 

 

 

作品から放たれる透明で強いエネルギーに心を打たれる、
代表作の ” レッド・サスペンダーズ  Red Suspenders (1961)”

 

 

 

 

ジム・ダインが幼い頃から身近にあった工具、
そこに美を見出すのは初期からのテーマ。

 

 

 

 

一見、粗野でゴミのようなのに、詩を編むような繊細で清潔な描写。

 

 

 

 

 

楽しみにしていたピノッキオのシリーズでは、
たくさんのピノッキオに会えました。

『少年になり語り始める木(=ピノッキオ)という概念はアートの隠喩である』
ジム・ダインが70歳前後から作り始めたシリーズ。

 

 

 

 

ジム・ダインは1935年生まれのアメリカ人なので、
ピノッキオもディズニーがベースでポップです。

ディズニーのピノッキオは1940年に発表されているので、
彼が幼い頃から身近にあった存在なのだと憶測できますが、
そのモティーフを70歳代になって作品化するのですから、
美術家とは実にミラクルです。

 

 

 

 

壁に書かれたメッセージ。
丁寧な仕事で大変美しく、禅画のようなストイック+おおらかさも。

 

 

 

 

ハプニングやアクションペインティングというスタイルで、
ジム・ダインは、なぜ、美術史にこんなにも足跡を刻めるのでしょうか?
それは彼が歴史、リベラルアーツを理解・意識しているからで、
この展覧会でも彼のその謙虚な佇まいがにじみ出ているように感じました。

作品とは日々の品性の積み重ねであるということを
見せつけられる展覧会でした。

 

 

 


 

 

ジム・ダインの展覧会会場の上階の、
パラッツォ・デッレ・エスポジツィオーニ2階では、
ミラノ出身の写真家
ガブリエーレ・バジリコ(Gabriele Basilico 1944-2013)展 も同時開催中。

 

 

 

 

” METROPOLI ” と題された
都市を撮影した風景写真の展示ですが、油断していました、
こちらの展示もジム・ダイン展に負けない素晴らしい内容でした。
体力的にかなり消耗しましたが丁寧に観られてよかったです。
(写真展を写真に撮るって野暮ったく思えて会場は撮影せず。)

 

バジリコと同じように風景を撮る写真家も多いでしょうが、
一線を画す、レベルが違いました。
イタリアという国の文化の層に圧倒された、心に残る展覧会でした。

 

 

 

 

パラッツォ・デッレ・エスポジツィオーニは、
テルミニ駅近くの共和国広場から続く
庶民的なナツィオナーレ通りにある気軽な展示館で、
季節ごとに様々な展示や催事が企画されています。
1階のブックストアは観光客の方でも楽しめると思います。

 

 

 

 

つづく。。。

 

 

 

望月麻里 作品展
Japanese Garden di Mari Mochizuki 望月麻里

キュレーター:Rossana Calbi

会期:2019年3/20(水)〜 2020年3月末まで開催予定(2020年2/21追記)

定休:月曜日
場所:Not Your Dolls
住所:Via degli Zingari, 51/B, 00187 Roma RM
時間:火・水 15:30-20:00、木・金・土 11:30-20:00、日 16:30-21:00

※会場の都合で時間が変更になる場合があります。
※作家は会場にはおりません。

 

聖書のことば日めくり「恵みの花束 A Bouquet of Blessings」
いのちのことば社より刊行 銀座教文館などで発売中
イラストレーション Mari Mochizuki

 


私のローマ
2019年~2020年 新シリーズ / 長い長い夢
目次

その1 :夢への一歩 
その2 :Not Your Dollsと私
その3 :個展の準備
その4 :ローマにて
その5 :ローマ個展 初日報告
その6 :心あたたまる場所
その7 :画家の休日(マッシモ宮・バルベリーニ宮殿)
その8 :贈り物
その9 :トラステヴェレ散策(コルシーニ宮、ファルネジーナ荘)
その10:アンジェリックな日
その11:藤の花を描く(ヴィッラ・ジュリア)
その12:桜を憶う
その13:海辺の街で(リド・ディ・オスティア)
その14:近代の風、中庭の光(ローマ国立近代美術館)
その15:ローマ的 誤算
その16:ローマへ再び
その17:ローマでピノッキオに会う

2016年 初夏編 / ジャスミンの花香る頃に
目次

その1 :ローマのモンティ地区に滞在
その2 :国立古典絵画館(バルベリーニ宮)、モンティ散策
その3 :滞在先の修道院にチェックイン、フォロ・ロマーノへ
その4 :ローマ国立博物館(マッシモ宮)、夜のヴァチカン美術館へ
その5 :ローマ国立博物館(アルテンプス宮)、親友と地元ごはん
その6 :パンテオンに降る真紅の薔薇のシャワー、ローマ散策&スケッチ
その7 :古代遺跡でピクニック&スケッチ、地元ごはん、ローマ散策
その8 :ブラマンテの回廊で朝食、ローマの宮殿や遺跡で花のスケッチ
その9 :カノーヴァのカフェ、ローマ散策&お買い物、ゲットー
その10:ローマの心の風景、ボルジア階段

2016年 冬編 / オレンジの樹と鐘の音
目次

その1 :ローマ、冬のモンティ地区
その2 :サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂へ
その3 :修道院にチェックイン & カンパニアの林檎のスケッチ
その4 :港町の遺跡、オスティア・アンティーカの美を訪ねて
その5 :ローマのピラミッド、ローマのエジプト
その6 :カピトリーニ美術館へ
その7 :ドリア・パンフィーリ美術館のクリスマス・ツリーと絵画散歩
その8 :クリスマス・イヴのアート散歩 & ファルネーゼ宮殿
その9 :ナターレの朝、アヴェンティーノの丘で
その10:パラティーノの丘散歩、ピニェート地区でランチ
その11:小道の奥へ
その12:ローマ国立博物館(マッシモ宮)
その13:ローマでの不思議体験
その14:MAXXI(イタリア国立21世紀美術館)へ

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筆者:望月麻里(もちづき まり)画家  Contact

清泉小学校、清泉女学院中・高等学校卒業。
東京芸術大学美術学部絵画科 日本画専攻卒業。
1994-1995年にアーティスト・イン・レジデンスでイタリア・ローマに滞在。
展覧会、グループ展出品多数、
東京、鎌倉を拠点に平面作品の発表を続けるかたわら、
料理家 辰巳芳子氏の著書の挿絵、絵本の挿絵、
Hallmark社のステイショナリーの原画を手がける。