DIARY:私のローマ / 長い長い夢 その8

トラステヴェレ散策

 

 

 

 

ローマの バルベリーニ宮 (国立古典絵画館) の鑑賞券は、トラステヴェレの国立コルシーニ宮美術館 との10日間有効共通券。
期限も迫ってきたので コルシーニ宮 Palazzo Corsini へ行ってきました。

 

コルシーニ宮はテヴェレ川や裏の植物園との自然が相まって開放的で大好きな宮殿の一つ、若い頃に宮殿をスケッチした事があります。

 

 

 

 

 

椰子の木と野生のインコの鳴き声、開放感、以前と変わっていません。

 

 

共通券を消化するだけで訪れた何度目かのコルシーニ宮でしたが、入室と同時に驚きました。

 

古典絵画と一緒に実に美しく透明な光を放った、ニューヨーク出身の写真家 ロバート・メイプルソープ Robert Mapplethorpe (1946-1989) の 作品群が展示されていたのです!

繊細な展示構成、宮殿内の作品を殺さない静かな呼吸に、感動のあまり私は動けなくなりました。

 

 

メープルソープのモノクロの作品とフレームが、ローマ色でもある紅いパネルに設えられ品良く馴染んで。

 

 

 

日本でのメープルソープへの解釈は、エイズで死亡したことや、猥褻、と言ったイメージもありますが、国際的には20世紀最大の写真家のひとりとして位置付けられ、彼が古典を深く学び理解し、美術史に刻まれる作品群を残した事を、この企画展は静かに伝えています。

 

コルシーニ宮殿は国立美術館ですから、イタリアの懐の深さを感じました。
キュレーターの Flaminia Gennari Santori さんにも拍手を。
(気に入った展示空間は、あえてブログでのアップを控えます。)

 

 

カラヴァッジオ の「洗礼者ヨハネ」とメイプルソープが同室に。美術史における陰影の流れ。メイプルソープ作品の方が真っ直ぐで透明。

 

 

美術史上で聖人的存在の フラ・アンジェリコ の作品と、メイプルソープ作品が同室に展示されている事もローマならでは!

 

メイプルソープの企画展のカタログは無料でイタリア語版と英語版が有り。
没後30年を記念するこの展示は2019年6/30まで展示されます。

 

 

 

 

 

コルシーニ宮のお向かいで、ラファエッロ作の壁画「ガラテア」で名高いファルネジーナ・キージ荘 Villa Farnesina Chigi にも立ち寄りました。

 

 

 

 

初めてファルネジーナ荘を訪れた時は雨が降っていて、ラファエッロの描いた「ガラテアの間」Sala di Galatea を独り静かに鑑賞した記憶があります。

 

今回の目当てはジョバンニ・ダ・ウディネ Giovanni da Udine (1487-1561) による植物の壁画装飾の鑑賞です。

 

 

 

 

 

当時、イタリアにはなかったような、珍しい植物やフルーツ、野菜などがガーランドに編まれ描かれています。

 

表現にムラのあるロマーノなどの仕事に比べると、ウディネの運筆は徹底的でリズムも美しく、色彩も補色を活かした魅せ方が鮮やかで漆喰が乾く前によくここまで描いたものだと感心します。
( 彼の弟子になりたいくらい)

 

 

 

 

コルシーニ宮の楽しみのもうひとつは、ソドマ Il Sodoma ( 1477ー1549) の 壁画です。

ソドマの表現は、ひとつの作品内でもムラがあって、一部にはレオナルドの作品に間違えられるような天才的な輝きも持ち、興味深い人物です。

 

ソドマ自身がが描いたのか、弟子作なのか不明ですが、キージ家の寝室の壁画は主役のアレキサンダー大王よりも、脇役の人物や天使達がいきいきと魅力的に描かれています。

 

 

 

 

ファルネジーナ荘沿いのテヴェレ川護岸工事の際に出土した壁画群は、テルミニ駅横の ローマ国立博物館マッシモ宮Palazzo Massimo で鑑賞することができますから、あわせて足を運ばれても良いでしょう。