DIARY:私のローマ / 長い長い夢 その13

近代の風、中庭の光(ローマ国立近代美術館)

 

 

 

滞在したパリオリ地区のアパート近くにある、ローマ国立近代美術館 へ出かけました。
Galleria Nazionale d’Arte Moderna e Contemporanea Roma

 

現在では美術館に併設されたカフェ Caffè delle Arti の日曜日のブランチの方が有名かもしれません。

 

 

 

ボルゲーゼ公園方面から近代美術館を望む、階段の劇的な風景が好き。

 

 

アーティスト・イン・レジデンスで私がローマに滞在した1994年〜は、現代美術に触れたい時には ヴィッラ・メディチ Villa Medici か 街の画廊、または、この近代美術館に足を運ぶしかありませんでした。
ローマには ローマ現代アート美術館 MACRO、イタリア国立21世紀美術館 MAXXI  は、まだ建っていませんでした。

 

この美術館は、個人的に強く影響を受けた近代・現代の作家達の作品と過ごせる場所でもあり私にとって大切な空間です。

 

 

「TIME IS OUT OF JOINT」という企画展のパンフレット。カノーヴァの作品が表紙に。

 

美術館ロビー。

 

 

 

 

中庭からの光に包まれた展示室。
以前は美術館の中庭にエレガントなカフェがあって、若い頃、ローマの街や人に疲れるとここで過ごしました。

 

 

懐かしい中庭の光。辛酸を嘗めるローマでの毎日を受け止めてくれた場所。

 

平面作品の構成と配置が美しく参考に。

 

 

ジュゼッペ・ぺリッツァ Giuseppe Pellizza の 代表作「Il quarto stato」のための素描が数点展示されていました。
階級制度で虐げられてきた労働者の歩みを、点描に近い静かなタッチで描いています。圧倒されました。

 

Giuseppe Pellizza / Cartone per “Il Quarto Stato”

Giuseppe Pellizza / Cartone per “Il Quarto Stato”

 

 

石膏の作品を集めた魅せ方。
自然光が美しい。

 

 

 

美術史の教科書のような展示。
壁にはモディリアーニが展示されています。

 

 

 

ロダンの「青銅時代」とデュシャンの「自転車の車輪 」が溶け込む空間。

 

 

展示室の白い壁とトラヴァーチン石、木の床の心地よさ。

作品はフォンタナ、デュシャン、ピストレット、モランディ。スーパースターばかり!

 

 

手前はマルセル・デュシャン「泉」

 

 

 

 

ジュゼッペ・ぺノーネ。
アカシアの棘が画面に貼り付けられ中央には金箔が構成されています。

 

 

Giuseppe Penone 「spoglia d’oro su spine d’acacia」

 

 

アントニオ・カノーヴァ Antonio Canova の巨大な作品「Ercole e Lica」、手前は ピノ・パスカリ Pino Pascali の海の作品。

 

 

 

 

壁にはモンドリアン Piet Mondrian 、エンリコ・カステラーニ  Enrico Castellani 、と、静かに攻める構成。

 

 

 

大好きな エンリコ・カステラーニの作品と会えました。

作品観賞後、在日本イタリア大使館所蔵の彼の作品が プラダ・グループ の支援で修復され、お祝いのパーティーが催されたとツイッターで読みタイムリーでした。

 

 

Enrico Castellani 「Superficie bianca」

 

アルフォンソ・バルズィーコ Alfonso Balzico。
代表作の「クレオパトラ」、毒蛇に噛まれた戸惑いの表情。

 

 

Alfonso Balzico 「Cleopatra」

クレオパトラの向こうに、さらっと余裕でモディリアーニの裸婦。

 

 

ピエトロ・テネラーニ  Pietro Tenerani  のプシュケと再会。

 

 

 

 

3年前の初夏、ブラスキ宮殿 Palazzo Braschi /Museo di Roma (レプリカ?)にて。

 

 

 

大好きなフランチェスコ・クレメンテ  Francesco Clemente 。
ローマでは彼の作品をよく見かけるので嬉しい。

 

 

Francesco Clemente「Senza titolo」

 

 

欧州は紀元前〜19世紀までに具体化された文化遺産が、嫌でも目に入ってくる日常。
やり尽くされているのです。


近代美術館には、その先の表現を模索し続けた作家達の
前進するエネルギーが満ちています。

 

 

 

 

今回の展示で最も好きだった現代作家の空間。
大好きな中庭からの光に包まれ、素晴らしくて唸りました。

 

この現代作家はイタリア美術史の流れの中に自分を位置付け、ローマならではの作品を創っていました。
物故作家でなくて嬉しい!

私がお金持ちだったらこの若き作家の作品はをコレクションしますね。
作家の名前は内緒。。。

 

 

 

ローマ国立近代美術館の内装の、円柱や天井からの白い透け感のあるカーテンは、古代ローマの宮殿風で大変エレガントです。

一方で、ロビーやロッカー、ギフトショップなどの案内の文字がフリーハンドで書かれていて、優しさが感じられました。
難解で退屈になってしまいがちな近代美術の空間にぴったり。

 

 

中庭からの光溢れる回廊はミュージアム・ショップに。

 

 

懐かしい中庭にはアントワーヌ・ブールデル Antoine Bourdelle の作品が見えます。

 

 

 

 

若い頃の手帳を探したら、蔦の絡まる近代美術館中庭のラフスケッチがありました。

 

 

パリオリ地区を歩いて描いた拙いラフスケッチ。

 

カフェではパニーノとカモミールティーを。
ここのパニーノは大好き、ローマで一番好き。