桜から新緑の季節へ。
いかがお過ごしでいらっしゃいますか?
久しぶりの「スタジオ便り」です。
お読みくださりありがとうございます
スタジオのメンテナンス、新しいプロジェクト
春に恒例にしているスタジオのメンテナンス。
額や画材の手入れ、引き出しや棚の整理、模様替え、そしてスパイスのクローブの実を小さな巾着に入れ虫除けに置いたり。。。心地よく創作するための工夫を春の早いのうちに済ませます。
スタジオが整ってリフレッシュしてたところに、思いがけず商品開発のプロジェクトにお声をかけていただきました。
とても素敵なご依頼で、リサーチや取材、試作の毎日を送っています。
古い洋館の庭で
私は小学生の頃に茅ヶ崎の家から鎌倉の学校へ電車通学していました。
家から学校まで、こどもの足で1時間強かかっていたでしょうか、大船駅で東海道線から横須賀線に乗り換えて北鎌倉駅が近づくと、急に景色は緑深くなり、湘南と鎌倉の風土の違いをこどもながらに感じたものです。
横須賀線が山ノ内〜扇ケ谷(おうぎがやつ)間のトンネルを抜けると、鎌倉らしい谷戸(やと)に古い洋館が見え、その詩的な風情は今でも心に残っています。
時とは不思議なもので、半世紀を経て、その古い洋館のお庭でスケッチをする機会をいただきました。
電車の車窓からこの館を見つめる少女の頃の私に、手を振る気持ちでお庭を散策。ちょうど、すみれの花の季節で、タチツボスミレ、ニョイスミレ、園芸種のパンダスミレの可愛らしい花々を楽しみつつ、欧州の種と憶われるスイセンや、レンゲ(ゲンゲ)などを描きました。

洋館の庭のスイセン/ 鎌倉 画:望月麻里 (C)Mari Mochizuki

鎌倉には旧市街だけでも57カ所を数える谷戸(※1)があるそうです。
それぞれの谷戸は、今でも古くからの名称で親しまれ、例えば、紅葉ヶ谷(もみじがやつ)、犬懸ヶ谷(いぬかけがやつ)、月影ヶ谷(つきかげがやつ)など、公園や橋の名称でも美しい谷戸の名が残されています。
今回うかがった洋館は約100年前に建てられ、古くはお寺があった谷戸とのこと。
廃寺後、この館が建つまでは、界隈に水田があったと憶測できるレンゲの花が所々に群生していて、いにしえの鎌倉の人々からの花だよりにも心和みました。
後日に図書館で郷土史の資料をいくつか借りて読み、この洋館のある谷戸にあったお寺のこと、界隈に古くは水田があったことも記されていました。
※1:参考資料「鎌倉 谷戸の記録」上下巻 / 平成20年 鎌倉市中央図書館近代史資料室 CPCの会

レンゲ(ゲンゲ) / 鎌倉 画:望月麻里 (C)Mari Mochizuki

鎌倉にいると、時間というものは果たして存在するのかと不思議な気持ちになります。見え隠れする” 時 “のレイヤーが入り組み、ベクトルは真っ直ぐな方向でもありません。
風景に溶け込む草木もたくさんのことを語りかけてきて、私はそれらを少しでも描きとめたいと思うのです。。。
ノートブック
私が美大生の頃(1987年〜1991年)はWebもiPhoneもPinterestも無く、ノートやスクラップブックに書いたり貼ったりして自分の世界を創りました。音楽も美しいジャケットのレコードで楽しむ時代でしたから、今でもやっぱりその “質感” が好きで落ち着きます。
現在の私は、ジャーナルとして Moleskine Weekly Notebook 2025-2026 と、グラフィック的な記録として Moleskine Classic Notebook Hard Cover, Black の2冊を同時進行で綴ってみています。
もちろん、その他にスケッチブック数冊と、ローマの老舗画材店 POGGIのオリジナルノート3冊にそれぞれ異なるジャンルに関して綴っています。
ああ、これからますます、” 肉筆で描く ”とか、” 漢字を手書きする ” とか、” 書き間違え “とか、愛おしく思える時代になるでしょう。。。

庭の草花を小さなブーケにし描きました。
ヴィオラ3種、クリスマスローズ 、スノーフレーク、ナルコユリ、ナバナ、ヒューケラなど。

春の小さなブーケ / 画:望月麻里 (C)Mari Mochizuki
晩春から初夏が、皆様にとって素晴らしい季節でありますように。
睡眠をたっぷりとってお健やかに。
望月麻里
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