山藤の花がそよ風に揺れる季節になりました。
お変わりなくお過ごしでしょうか?
スタジオでは すみれ絵展(2017年4/21〜4/23開催) の納品や額の発注、制作中の作品の調整などの毎日でした。
少し落ち着きましたので、すみれ絵展の追想をこちらに書きとめておこうと思います。。。
(長文失礼します。)
今年 2017年で、 望月麻里 すみれ絵展 は第3回目の開催でした。
スミレという花に魅せられたのは、こどもの頃だったと記憶しています。
春のメランコリーと、紫色と、うつむくスミレやパンジーの花。
不思議な場所で、結構楽しそうに元気に咲いているのもスミレです。
幼い頃の私の心象のようでした。
北鎌倉たからの庭で、すみれ絵展を開催するようになって、想像以上にスミレの花がお好きな方がいらっしゃるので、その出会いを嬉しく感じています。

2017年 望月麻里 すみれ絵展会場風景。スミレや季節の花々を描いた作品を展示。
鳥たちの歌が響く北鎌倉たからの庭で、
お客様との出会い、再会を心から楽しみました。
沢山の方のお支えで 展覧会を開催できることも感謝しています
special thanks to :
会場:北鎌倉たからの庭 さま (浄智寺さま)
額装:銀座伊東屋 K.Itoya B1額売場 さま
販売:たからの庭ギャラリー さま
販売:K さま
展覧会記念・菓子製造:スエ亭 さま
装花:Mayumi Ikedaさま
庭の清掃:Sさま、Mさま(かまくら主婦’s ネットワーク)
The Making of an Exhibition
すみれ絵展 メイキング

満開のシャガの花と鳥たちの歌。たからの庭の階段。

北鎌倉 浄智寺の鐘楼
北鎌倉たからの庭は、古刹 浄智寺さまの敷地、戦前〜戦後は女性陶芸家のアトリエでした。
昭和40年代に歴史的風土特別保存地区に指定され、現代では最も鎌倉らしい風情の残る地域ではないでしょうか。
戦前に女性が北鎌倉の山に窯を築く。陶芸家 久松昌子さんとは、どんな方だったのでしょうか?
たからの庭のホールには久松氏の作品と憶測される花の意匠の燭台(?)が展示されていますが、フェミニンでPOPでもあり、当時人気があったことも納得できます。
藤田嗣治 Leonard Foujita もディナーセットを注文しにいらしたという、この庭で語り継がれるエピソード(太平洋戦争があり大変な時代だったと思いますが)。
私の心の中は、まるでウディ・アレン監督 作品『Midnight in Paris )』(2011年)の主人公ギルのように懐古趣味に浸って興奮してしまいます。
一輪のスミレの花の花期ほどの、束の間の展覧会。この庭の歴史と物語に敬意を表し、スミレの花弁ほどの妄想も楽しみながら、この庭で展覧会ができる時代と皆様に感謝して。

モミジの樹の下。木漏れ日と古の飛び石。
北鎌倉たからの庭は、いつも手入れのされた空間ですが、さらに、美術の展覧会 会場らしい緊張感を出したくて、今年は若いスタッフ2名が庭の清掃を担当。
展覧会に関わるこのような交流も楽しいですね。
清掃後は庭にそよ風が吹き抜けるようで、気持ちよくお客様を迎える心構えができました。
庭の片隅では白いスミレの花、ヴィオラ ソロリア・スノープリンセスが咲く季節。
展覧会記念チロルチョコにはこの花の絵柄も作りましたよ。

清右衞門さんに教えていただいた、ヴィオラ ソロリア・スノープリンセス

2017年すみれ絵展の記念のチロルチョコ
展覧会記念のお菓子やチロルチョコは、鎌倉までお運びいただいた方々に、お土産として楽しんでいただきたくて作っています。
今年もスエ亭こと 末永知美さんにケーキを注文しました。
スエ亭の「スミレとレモンのケーキ」は、復活祭の飾りの卵からイメージされ、今年はヴィオラの花の砂糖漬けがあしらわれています。
フリーランス・エディターでいらっしゃる Keiko さんが、スミレとレモンのケーキを大倉陶器の食器と美しいカトラリー、お庭のヴィオラたちと楽しんでくださったようです。
アフタヌーンティーブレイクの素敵なお写真にうっとりです。

「スミレとレモンのケーキ」Keikoさんによるコーディネート(画像掲載承認済)
北鎌倉たからの庭で 清右衞門さん が主宰される「みちくさ部」の、スミレの回がご縁で出会った なっちゃん さん。
なっちゃん さんご自身が、スミレの花のように凛と気品ある方なんです。
blogでご紹介&素敵なお写真をありがとうございます

「スミレとレモンのケーキ」なっちゃんさんのコーディネート(画像掲載承認済)
すみれ絵展の第一回から作り続けている卵のオブジェ。
2017年の卵は、案内状の絵に合わせ濃い花色で仕上げました。

2017年 すみれ絵 卵のオブジェ、画材とともに。
木製の卵形に紙を貼り込み、日本画の絵の具(岩絵の具、膠、顔彩)と技法で彩色しています。
昨年、ローマの Il Papiro という紙の専門店を訪れ、お店のマダムに卵のオブジェの画像を見せたところ、Il Papiroの紙を用いて作っている事を大変喜ばれ、『制作のために使ってください』と、貴重なマーブル紙などをプレゼントしていただきました。
今年はその紙を卵の一部に貼りこみました。
春の詩がたくさん詰まった卵です。

2017年製 すみれ絵 卵のオブジェ。屋久島スミレの小さな花とともに。
pre opening
プレオープン

古刹 浄智寺の桜

たからの庭のエントランス。photo by Mr.Yabe (画像掲載承認済)
4/21(金) 14:00〜搬入・設営後にプレ・オープンを開催しました。
思いがけず、たくさんのお客様がご来場くださいました。
浄智寺からのアプローチ、庭に合わせた作品展示のコンセプトに共感してくださるお声多く、大変に励みになりました。

スタッフの羽衣さんによる会場写真 。窓が瑞々しく幻想的!(画像掲載許可済)

東京からのお客様も庭を散策。鎌倉でも珍しいイワタバコの新芽が見えます。
ニューヨーク在住の写真家 N.K.氏 が思いがけずご来場くださり、お話できたことも感激でした。
ヨーロッパの方からも共感されるものと、和のテイストもある。
展覧会に寄せてくださる N.K氏の客観的で率直なお言葉に、ヒントや励ましをいただきました。
Exhibition
すみれ絵展 2017年4/22(土)〜4/23(日)開催
昨年に続き、素描を中心の展示です。
M12号の日本画も展示しました。
スミレの花にお心寄せる方、すみれさんというお名前の方やご家族、ゆっくりお話できて嬉しく思いました。
「野を歩く・ローマにて」画:望月麻里
スミレの花のサイズの小さな作品です。
昨年のローマでのスケッチをもとに再構成した作品で、南欧の光や、乾いた風を描きたかった。
雛菊(デイジー)やスミレをマリア様の象徴ととらえる方もいらっしゃるかもしれません。

「野を歩く・ローマにて」画:望月麻里 (C)Mari Mochizuki 2017
「FOR YOU」画:望月麻里
スミレ、バラ、スズランは欧米では古からの定番モティーフ。
忠誠や愛の象徴でもあり、母の日や誕生日のグリーティングカードなどでも描かれます。
私はバラと共に、庭のスミレ、スズラン、タイムの葉をブーケにし古典的なモティーフを描くことに挑戦しました。
すみれ絵展では、会場のたからの庭の野草の愛らしさなどにあわせ、春の優しい雰囲気の展示にしていますが、決して可愛らしさを表現しているのではありません。
確かな技術とコンセプトで構成していることを男性のお客様が熱心にご理解くださる傾向もあり、今年は銀座の画廊での会話のようなひとときもありました。
楽しかった!
2013年から北鎌倉たからの庭で小さな展示の試みをはじめ、今年のすみれ絵展はご来場者数も多く、
展覧会のイメージが定着してきたように感じました。
美術専門の空間ではない場での展示には情熱が必要ですが、今後は光源を工夫して日本画の作品を展示したり、さらに内容の濃い充実した展示にできるよう制作に励みます。
Reminiscence
追想と感謝
展覧会にお花や美味しいものをたくさん寄せていただきました。
お気持ち嬉しく、感謝の気持ちで一杯です。

展覧会に寄せていただいた花と品々。
兵庫県の宝塚市の方から思いがけない贈り物、マリーアンジュ「宝塚すみれポテト」という
紫色の美味しい洋菓子でした。
『すみれの花咲く頃』が愛唱歌である宝塚歌劇団の本場ならではの素敵なお菓子ですね、ありがとうございます
『すみれの花咲く頃』という歌はドイツの『再び白いライラックが咲いたら』という曲が元だそうで、会場の装花の Mayumi Ikedaさんの花の中に白いライラックが使われていて、韻をふむようでした。

展覧会後、装花や花束は水切りをして別のあしらいに。
展覧会も終わって数日後のスズランの日に、思いがけず、Mayumi Ikedaさんからお花を頂戴しました。感激です。
すみれ絵展のDMもピンクのバラとスズランが構成されていましたが、淡いピンクの花とスズランのブーケ、心がホッとしました。
ありがとうございます

幸せなスタジオにて。
北鎌倉たからの庭という特殊な空間で、今までよりも一層、皆様と美術や植物や鎌倉のお話が楽しくできますよう、上質な作品の発表に努めます。
今後ともご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします
望月麻里 mochizukimari.com
望月麻里
画家・イラストレーター
東京藝術大学美術学部絵画科
日本画専攻卒業
鎌倉市在住
mochizukimari.com
望月麻里への仕事のご依頼
giardino.art@gmail.com
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paypal.me/marimochizuki