ローマ、初夏のモンティ地区に滞在
2016年、久しぶりにローマを旅しました。
今回滞在したのは、若い頃に住んでいたモンティ Monti という下町の地区。
トレヴィの泉とコロッセオの中間くらいの地区で、ローマの旧市街の中でも最も古い佇まいを残すと言われる界隈です。
1990年代半ばごろに、私は母校の修道院の仲介で、アーティスト・イン・レジデンスの機会を得てこの地区に滞在しました。
当時、住んでいたのはホテルの一室。
窓を開けると古い町並みと広場が見え、天井も高く静かで、簡素ですが十分な部屋でした。
下町である一方で大学や省庁などもあって、何かと便利なこの界隈、部屋を出て目の前のボルジア階段を登ればミケランジェロのモーゼ像のあるサン・ピエトロ・イン・ヴィンコリ教会、ヴィミナーレの丘にはバルベリーニ宮殿(国立絵画館)、カヴール通りを緩やかに下ればフォロ・ロマーノと、大学の絵画科を卒業したばかりの若い私にとって、美術の教科書で見たことのある作品が集まる、魅力的な地区でした。
静かだったこの地区も、現在ではクリエイティヴなお店が集まる高級住宅街になっています。
スター・ジャスミンの花の香りでいっぱいの季節に、今回の私の旅が始まりました。
アリタリアの直行便で定刻通りにローマに到着後、空港で待ってくれていた親友と合流し、バス&地下鉄でカブール駅 Cavour へ。
駅近のかつて住んでいたホテルにレイト・チェックインした後、ボルジア階段を登ってコッレ・オッピオ公園 Parco del Colle Oppio の外れにある、La Biga Wine Food でアマトリチャーナのパスタと白ワイン(フラスカーティ)の簡単な晩餐。
このカッフェテリアから見下ろせるコロッセオでは、イタリアと日本の国交150周年を祝う照明イベントが、偶然にも行われていました。
ずっと思い焦がれてきた、心のふるさとのローマ。
帰ってきたその日に、コロッセオの華やかなイベントがあるなんて幸せ〜♪
親友と別れからも、ひとりコロッセオのイベントを見物し、フォリ・インペリアーリ通り Via dei Fori Imperiali をだらだら歩いて部屋に戻りました。
この街に帰ってきた喜びと安堵、様々な感情が私の中で入り混じって、私はいつのまにか、まるでローマの石畳のように重い色彩の眠りに落ちていました。