Mari Mochizuki

DIARY:私のローマ / 地図を歩く その2

 

歩む宮殿たち

 


 

 

 

 

ふと、手にとった読み物の美しい室内写真に、
私は釘付けになりました。
某人気イタリア人建築家の ジュリア通り Via Giulia の新居の写真。

 

 

 

 

記事によれば、その建築家がそれまで住んでいた
ローマ・モンティ地区の自宅も快適だったが、
さらに歴史を感じられる空間を希望していて、
新居ではモダンなアートや家具のコレクションを構成し、
実験的な精神性を反映させた空間創りを試みたそう。

 

建築家は古い建物の意匠を傷つけないよう工夫を凝らし、
18世紀に施された装飾残る木製の格間天井の美しさも活かして、
現代アートのギャラリーのような見事な空間を創り出しています。

 

1552年に完成した
ローマを代表する美しさのサッケッティ宮殿 Palazzo Sacchetti 。
その一部が、建物や歴史に対する謙虚な姿勢を持つオーナー所有となり
この宮殿は新しい道を歩み始めました。

 

 

 

ローマの美を凝縮したような2014年のオスカー受賞作品
パオロ・ソレンティーノ Paolo Sorrentino 監督の
「グレート・ビューティー 追憶のローマ / La grande bellezza」で、
サッケッティ宮殿がロケ地になっているのは調べていました。

緑豊かな庭園で幼児が駆けまわるあの幻想的なシーン、
Violaという女性が食事会を開催し友人たちを待つシーンなど。

 

 

 

 

宮殿の詳細は、
美術史家 コスタンティーノ・ドラツィオ氏  Costantino D’Orazio  の
ご著書を手引きに。

「 the keys to open / 99 secret places in Rome 」
「 La Roma Segreta del film LA GRANDE BELLEZZA 」

 

 

 

 

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コスタンティーノ・ドラツィオ氏の著書
「 the keys to open / 99 secret places in Rome 」
本のタイトルの「ローマの99カ所の秘密の場所」の2番目に登場する
ボンコンパーニ・ルドヴィシ邸
カジノ・デル・オーロラ Casino dell’Aurora 。

 

 

カジノ・デル・オーロラ:The Casino di Villa Ludovisi (1761) by Giuseppe Vasi / Wikipediaよりパブリックドメイン画像拝借

 

 

カラヴァッジョの油彩の天井画「四元素」や
グエルチーノの連作を持つ美しい屋敷が、
2022年初めににオークションにかけられるそう。

 

 

カジノ・デル・オーロラのグエルチーノの天井画:Aurora (1621) by Guercino, after which the villa is often referred to, in the main reception hall / Wikipediaよりパブリックドメイン画像拝借

 

 

建物や美術品の修復費用、
広大な庭園の管理なども含むこの屋敷をどんな方が競り落とすのか。
美しく憂鬱なお屋敷、幸せな道を歩みますように。

 

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シルヴェストリ宮殿界隈:Dalla Nuova Topografia di Roma di G.B. Nolli (1748) / Wikipediaよりパブリックドメイン画像拝借

 

過日の diary で書いた、
コロッセオ近くの シルヴェストリ宮殿 Palazzo Silvestri-Rivaldi は
おそらく今後は文化施設に。
屋根が朽ち落ちた宮殿の歩みは、長い長い道のりになりそう。

 

 

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ブランカッチョ宮殿 Palazzo Brancaccio

 

 

イタリア国立東洋美術館やパーティー会場として展開されていた
メルラナ通り Via Merulana のブランカッチョ宮殿 Palazzo Brancaccio 。
(イタリア国立東洋美術館はエウル地区の複合施設へ移転。)

 

2021年秋からは宮殿の一部が
アート、建築、デザイン、ビジュアルアートなどに特化した
コンテンポラリー クラスター Contemporary Cluster の拠点になり、
展示スペース、アトリエ、アーティスト・イン・レジデンス(アパート)、
ワークショップなどが展開されるとのこと。

 

同じ通り沿いにある長年廃墟だった
メルラナ宮殿 Palazzo Merulana は20世紀アートの美術館に改修、
ブランカッチョ宮殿も一部が現代アートの拠点になりますから、
宮殿たちの華麗な変身と歩みは、
ローマの街に軽やかなアートの足音を響かせることでしょう。

 

 

 

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