ローマ国立博物館(マッシモ宮)、夜のヴァチカン美術館へ
旅の三日目。
滞在先の修道院の小さな中庭から聞こえる、ユリカモメの声でめざめました。
屋根に巣があるのかな?(笑)
この日の朝食は修道院の食堂でのブッフェ。
メニューはペストリー、ロゼッタパン、シリアル、ラスク、チーズで、(私はロゼッタパンをチョイス。)コーヒーは自動のコーヒーメーカーがありました。
食堂の壁には大きな「最後の晩餐」のタピストリーやイコン画がかかっています。
晴れていたので、散歩しながら、テルミニ駅前のローマ国立博物館 マッシモ宮 Museo Nazionale Romano Palazzo Massimo に向かいました。
薫風にのって、ジャスミンの花の香りがふわっと届きます。
マッシモ宮は古代ローマの国宝級の作品を集めた博物館です。
彫刻、石棺、モザイク、フレスコ画などテーマに沿った丁寧な展示で、3階に展示されているリウィアの家のフレスコ画が好きな私は再訪を楽しみにしていました。
ローマ皇帝アウグストゥス(在位紀元前27年 – 紀元14年)の妻リウィアの別荘であるこの家は、ローマの北のプリマポルタで1863年に発掘されました。
第二次世界大戦中にこの遺跡が軍によって使われたために被害もあり、現在はフレスコ画のある部屋ごとマッシモ宮に保存されています。
フレスコ画には、松、オーク、針葉樹、月桂樹 等の樹木、ザクロ、マルメロ、ナツメヤシ、アカンサス、樹々の下にはバラ、ケシ、スミレ等、様々な植物が描かれています。
さらに、絵の中の鳥たちの表情も可愛らしく、樹々も枝先がわずかに風にそよいでいて、爽やかを演出しています。
単なる壁の装飾画にとどまらない品格のある作品です。
日頃、私が制作している日本画の材料の岩絵具(いわえのぐ)。
実はフレスコ画の絵の具(顔料・がんりょう)と大変似ています。
どちらも天然の石や土などを粉末にして色として用いますが、日本画は膠(にかわ)で練った岩絵具を、紙、絹、麻、板などに描くのに対し、フレスコ画は顔料を水と練って、漆喰が生乾きの時に染み込ませて描きます。
古の画家や、修復家達の筆致に心寄せて、ゆっくり鑑賞しました。
ローマ国立博物館 Palazzo Massimo alle Terme
Largo di Villa Peretti, 2, 00185 Roma RM
博物館の帰り道に、サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂 Basilica di Santa Maria Maggiore に立ち寄りました。
ウルバナ通り Via Urbana では、生チョコのお店 GREZZO でベリーのスムージーを。
店内でケーキや生チョコもいただけるようで、お店のスタッフも親切でした ♪
昼食&シエスタ後、ヴァチカン美術館のナイト・ミュージアムへ。
ヴァチカン美術館は何度も足を運んでいるので、今回は行かないつもりでしたが、ナイト・ミュージアムの開催が旅の直前に発表されていたので、予約してみました。
美術館前では予約していない方々の列で大混雑でした。
入場口まで進んで係りの方にあらかじめ印刷した予約の紙を見せればすぐに入れました。
夜にヴァチカンに来るのは初めて。
フロアや中庭で音楽の演奏があり、お祭りのように賑やかです♪
おしゃれして食事をしている方も沢山いらっしゃいます。
さすがにナイト・ミュージアムの見学者は少なく、ゆったり鑑賞できました。
ユリウス2世がラファエッロや弟子達に描かせた、美しいフレスコ画連作がある4部屋のラファエッロの間 Stanze di Raffaello は、昼間と違い 1 部屋に 見学者が 1 ~10名 ほど。
「アテナイの学堂」 Scuola di Atene (上図) の部屋は貸切状態の時もあって感激!
あの空間に私一人だけで、一瞬、時が止まったような不思議な体験でした。
ローマよ、素敵な計らいをありがとう!
夜のヴァチカン美術館で一番期待していた、ベルヴェデーレの中庭は、間接照明だったらどんなに美しいでしょう。。。と想いましたが普段と変わらずでした。
ベルヴェデーレの中庭のラオコーン像。
この像は、私が滞在しているモンティ地区の隣山の皇帝ネロの黄金宮殿 Domus Aurea 近くで1506年に発掘されました。
モンティ地区にはセルペンティ通り Via dei Serpenti (セルペンティ=蛇)という名前の道があって、地元の民話には、道の名はラオコーンの蛇に由来している、というものもあります。
セルペンティ通りは古道でローマの古地図にも表示されています。
(おまけの画像)
ヴァチカン美術館の中で、私が密かに好きなのは The Gregorian Profane Museum です。
比較的新しい美術館で、普段も見学者が少ないのですが、古代ギリシャのオリジナル彫刻やローマン・コピーなど見事な展示です。
この美術館には2世紀に作られた美しいモザイク画があり、これが私の目当てです。
ナイト・ミュージアムの日には、この美術館の一角でコンサートをしていました♪
↓ iPadで私が撮影した動画です。(コンサートの演奏の音が出ます)
このモザイクは “Unswept Room” と呼ばれていて、ハドリアヌス帝の時代に作られた作品(ローマン・コピー)と言われています。
床のデザインとして、宴会後の残骸が細かなモザイクで描かれている個性的なものです。
食材それぞれに、うっすらと影も付いていて立体的に見えるのがニクい!
20歳代の頃に、初めてこの作品を見て私はローマに心を奪われました。
古代ローマの生活はどんな風景だったのでしょう。
こんな美しいものが、ひょっこり街の丘から出てくるなんて!
ヴァチカン美術館のナイト・ミュージアムを満喫し、バスでヴェネツィア広場 Piazza Venezia まで乗り、週末の賑やかなフォーリ・インペリアーリをゆっくり歩きながら帰りました。
ヴァチカン美術館・Musei Vaticani
公式サイト official site:Musei Vaticani