ナターレの朝、アヴェンティーノの丘で
ナターレ Natale =クリスマスの当日の朝は、滞在先の修道院の食堂も、シスター方による素朴であたたかなデコレーションが施されていました。
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シスター方の心づくし。本物の蝋燭でクリスマスの絵柄でした。
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パネットーネもたくさんありました。ちょっとレトロな感じの赤いテーブルクロスが和みます。
クリスマス・イブの夕方は修道院のチャペルで、プロの男声合唱団がたくさんの賛美歌を披露され、
美しい歌声が広場にまで響いて感動的でした!
思いがけず贅沢なひとときを過ごしました。
朝食後に修道院のチャペル2階でお祈りし、その後、私はアヴェンティーノの丘 Monte Aventino へ向かいました。
ナターレの朝にアヴェンティーノの丘に立つことが、若い頃からの私の憧れだったのです。
アヴェンティーノの丘は古代ローマの七つの丘のひとつ、テヴェレ川沿いにあって、坂道を息をはずませて登ります。
丘の上の オレンジ(アランチ)公園 Giardino degli Aranci(サヴェッロ公園 Parco Savello )へ。
パオロ・ソレンティーノ監督作品の映画「La grande bellezza」でも、美しい鳥の声とともに、アヴェンティーノの丘が登場します。
主人公の小説家ジェップは世俗的な生活を続ける中で、創造の憂鬱と戦い、大いなる美を追い求め、
日々、ローマを彷徨っています。
そんなある日、アヴェンティーノの丘を散歩中に、尼僧が一心にオレンジを収穫している、なんとも微笑ましい場に遭遇します。
美は一瞬で、とらえどころがない。
場面はすぐ移り気に、空のムクドリの大群の描写になります。
あの転々とする場面に、パオロ・ソレンティーノ監督の才能を感じました。
美を追い、具体化していくまでの遠い道のりを、知る方です。
サンタ・サビーナ教会 Basilica di Santa Sabina all’Aventino。
ちょうどナターレの御ミサ中で末席で拝見させていただきました。
このひととき、一生の宝物です。
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白い円柱が美しいサンタ・サビーナ教会。クリスマスの朝、御ミサの後に。
この教会は、5世紀に建てられた古い教会で、もともとは殉教した聖サビーナの住居だった場所と言われています。
チャペルは白大理石製の列柱と、5世紀当時ものと言われる透明な石膏で作られた窓の装飾とが厳格ながらも、どこか女性的な優しい空間をつくりだしています。
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教会前広場のマスケローネ(仮面)の噴水。
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アヴェンティーノの丘のマルタ騎士団広場
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鍵穴を覗くとヴァチカンのサン・ピエトロ大聖堂のクーポラがが見える。
アヴェンティーノの丘からのナターレの朝のローマの街並み。
遠くにヴァチカンのサン・ピエトロ大聖堂の白いクーポラも望めます。
ナターレの朝に、ここに来たかった。
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オレンジ公園からサン・ピエトロのクーポラを望む。その手前とんがり屋根はトラステヴェレ地区のサン・クリソゴーノ教会鐘楼、さらに手前左端はサンタ・チェチリア・イン・トラステヴェレ教会の鐘楼、他にもたくさんのクーポラが見える。
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遠景の中央は市庁舎の時計台、左はヴィットリオ・エマヌエーレ2世記念堂、右に私の滞在先に近いミリツィエの塔。中央手前の鐘楼は真実の口のあるサンタ・マリア・イン・コスメディン聖堂、右側にクイリナーレ宮殿も見える。ローマの松のリズム。
そして、ローマの街中の教会の鐘がいっせいに、ガラーン・ゴローンと深く、一方ではカラーン・カラーンと軽やかに、幾重にも鳴り始めました。
私が長く待ち望んでいた風景、音。
鐘の音の重なりは風に舞い、
空高く高く、渦を描いていました。
ほんの数分の出来事。
美は儚いけれど、この瞬間に、ここに立てたことに感謝して。
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折り重なる鐘の音の中で。