樹々の緑が美しい季節になりました。
お変わりなくお過ごしでしょうか?
「すみれ絵」展(2018年4/21〜4/22) でお求めいただいた作品の納品を終え、スタジオが少し落ち着いてきましたので、「すみれ絵」展の追想をこちらに書きとめておきます。(長文失礼します。)
今年 2018年で「すみれ絵」展 は第4回目でした。
毎年、「北鎌倉たからの庭」 のホールで開催していましたが、今年は隣接する茶室「宝庵(ほうあん)」が会場となりました。
天候に恵まれ、輝く新緑と鳥たちの歌の中で、お客さまとの再会や出会いを心から楽しみました。
今回も沢山の方のお支えで 展覧会を開催できました。
special thanks to :
会場:臨済宗円覚寺派 金寶山 浄智寺 様・宝庵 様
運営:鎌倉古民家バンク 様
額装:銀座伊東屋 K.Itoya B1額売場 様
表装など:鳩居堂 様
販売:たからの庭ギャラリー 様
装花:Mayumi Ikeda 様
展覧会記念・菓子製造:COOKIE ART PARTY 平井理紗 様
会場案内:Yukiyo Matsuzaki 様(宝庵)
販売:Hisayo Matsubara 様
翻訳:Eringi English House 様
スタッフ派遣:かまくら主婦’s ネットワーク 様
お弁当製造 4/20:スエ亭 様
お弁当製造 4/21〜4/22:北鎌倉「円」様
The Making of an Exhibition
すみれ絵展 メイキング
北鎌倉の古刹、浄智寺様の谷戸に建つ宝庵(常安軒、夢窓庵)は、この谷戸に最初に住み始めたジャーナリスト 関口泰 氏が、ベルリンで出会った若き建築家 山口文象 氏に依頼し1934年に建てた茶室です。
昨年末まで管理されていた建築家 榛沢敏郎 氏から浄智寺様の所有になり、2018年1月に「鎌倉古民家バンク」様の運営に。
「すみれ絵」展を宝庵で、とお声をかけていただき、この個性的な空間での展示を四ヶ月足らずで構成する試みとなりました。
宝庵の施主でジャーナリストの関口泰 氏のご著書を古書店から取り寄せ読むうちに、氏の繊細な眼差し、花鳥に対する優しい感性に共感しました。
特に随筆や和歌の中の浄智寺谷戸の自然描写、「花鳥日記」「小鳥と花」「吉野窓由来」は展示のヒントに。
鎌倉古民家バンクの島津様からいただいた、関口氏が描いた水墨画(プリント)からもお人柄が偲ばれます。
宝庵は浄智寺様の庭師の方々、棟梁のご尽力で見事によみがえり、2018年4月にめでたく一般にお披露目となりました。
お披露目会の際に感激したのは、庭のあちこちでタチツボスミレが咲いていたことです。
島津様のご配慮でスミレが除草されずに残されていたのです。
古刹のお茶室で入場無料の絵の展覧会を開催するにあたっては、お客さまにも茶室の保護をご理解いただき、庵内の導線や配布用の地図を作る必要もありました。
「すみれ絵」展が、今までの展示とは違うスケールになっていることを感じました。
搬入日の会場に、今年もMayumi Ikedaさんのお花が奈良から届きました!
第四回「すみれ絵」展の案内状の絵を想わせる、すみれ色と野趣を感じる花々の構成です。
Mayumiさんとは面識がないのですが、SNSを通じて会場の写真などを共有し、今回もイメージ以上に展示にぴったりのお花を作ってくださいました。
宝庵の待合の個性的な空間にMayumiさんの花を置く事は、年末年始の大掃除の時にラフスケッチを描きました。
Exhibition
すみれ絵展 2018年4/21(土)〜4/22(日)開催
「すみれ絵」初日からたくさんの方にご来場いただきました。
ありがとうございます
早朝に会場入りし、室内と庭の清掃、花を生け、つくばいの水も清めて、打ち水をしました。
日本人として生まれても、現代では、なかなかできない貴重な体験です。
物販担当のMatsubaraさんの個性的な視点(笑)、 清掃風景。
朝にスタジオの庭で摘んだノブドウの蔓やスズラン、スミレなど。
ブリキのバケツは受験生の時に筆洗で使っていたもの。
展示会場の常安軒の八帖間は雪見障子をあげ、庭の光を溢れさせて。
常安軒の八帖の会席の床の間は、鳩居堂製の色紙軸にアリアケスミレとエビネランを描いた日本画を。
色鉛筆画の「すみれ摘み」「春・雪国にて」や、宝庵の庭でちょうど咲いている、ショカッサイやニリンソウの素描。
望月工房製の鉄のオブジェの上は、ブルーベルやデイジーなど野の花が描かれたスウェーデンの Rörstrand社の 1950年代のカップを花器に見立て、コデマリとニリンソウを生けました。
母の私物の骨董の香合と、私が幼い頃に稽古していた藪内流の「福寿」というお袱紗。
卓上にスミレの素描や季節の花々、北鎌倉で出会った野鳥のエナガのプリント作品なども展示。
望月麻里のオリジナル 絵葉書やホールマークの商品も販売しました。
2018年「すみれ絵」展のチロルチョコレート。
すみれ絵展のお楽しみ、展覧会記念のお菓子!
今年は COOKIE ART PARTY の平井理紗さんのアイシングクッキーです。
多摩美の油画で絵画を学ばれた方なので、デッサンや色彩感覚が素晴らしく、製菓専門のお勉強もされてお味も美味しいのです。
昨秋の 青林檎ブラムリー を訪ねる長野の旅でご一緒した、東麻布の英国菓子 モーニングトン・クレセント のステイシーさんに、旅先でお弟子さんとしてご紹介いただいたご縁です。
四帖の茶室、床の間には鳩居堂製の姫色紙軸にパンジーの素描をかけました。
こんな軸に絵葉書やこどもさんの絵でも良いかと、和の空間の提案です。
庭に咲くショカッサイと羊皮紙に描いたツマキチョウの素描、花器は 東京藝大の仲間 竹内あきじ 氏 の鍛金作品。
常安軒と夢窓庵をつなく庭では、宝庵のアテンドをMatsuzakiさんが担当してくださいました。
丁寧な解説がお客様から大好評でした!
夢窓庵の展示は茶室の保護のため、にじり口や吉野窓からご見学いただきました。
鳩居堂製の色紙軸に昨春に裏磐梯の山奥で描いたギンランとタチツボスミレの色紙を。
花器はリトアニアの森に住む女性の陶芸作家のゴブレットで、青い小花とリスが描かれています。
花は私のスタジオの庭の斑入り葉のノブドウとスミレ。
施主の関口氏の随筆に、ブドウの新芽と鳩居堂にまつわる記述があり、ノブドウの蔓をいけてみました。
ゴブレットで先人たちへ献杯の気持ち、聖杯のような、まだ、形にならない色々な思いも込めて。。。
二日目の早朝も会場と庭掃除から。
「北鎌倉たからの庭」での展示でも朝の清掃をしましたが、このような茶室での支度を体験できて、大変幸せに感じます。
二日目もたくさんの方がおいでくださいました。
物販係のMatsubaraさんが撮影してくださいました。
「すみれ絵」展の会場では幸せのマジック続出、偶然に会場でご友人同士やご親戚同士の再会が重なり、歓喜の声が響きました。展示会場では、人の縁、絆の不思議をいつも感じます。
スミレという、足元に咲く見過ごしてしまいそうな小さな花をめぐって、スミレの花に心を寄せる方々との出会いや語らいは、作家として幸せなひと時です。
浄智寺ご住職・朝比奈恵温様にもご高覧いただきました。
心より御礼申し上げます
Reminiscence
追想と感謝
「すみれ絵」展 会期後の4/23(月)、4/24(火)は会場の宝庵の清掃へ。
展示が無事に終えられたことを感謝し、浄智寺様に参りました。
ご来場くださった方々の嬉しいお写真も。
素敵に撮影してくださりありがとうございます。
平井さんのお菓子を喜んでいただけて幸いです。
「すみれ絵」展のメンバーに「北鎌倉 円」さんのお弁当を手配しましたが、親しい方のお土産にも。皆さんにご好評でよかった!
ご来場の皆様から、たくさんいただきものをしました。
優しいお心づいかいに感謝します。
昨年の「すみれ絵」展や、伊東屋の作品展に続き、今回も遠方から宝塚市のお菓子を送ってくださったMomokoさま。
宝塚市は宝塚歌劇団の街として、すみれ色にちなんだお菓子やgoodsがあるそう。
このフィナンシェはブルーベリー味で宝塚市でしか買えない人気のお菓子!
私はすみれ色のベリー&アサイーのパウダーをあしらっていただきました。
大変美味しくいただきました。ありがとうございます
後日、「すみれ絵」展のメンバーで、打ち上げFestaをしました。
二階堂の覚園寺様。
覚園寺門前にある イタリアン「Acci」 様にて。
各方面でご活躍のメンバーが貴重なお時間の中で、全員集合♪
「すみれ絵」展でのお客様のお言葉などもうかがえて嬉しく思いました。
今年の春は、花の開花が半月ほど早く、野草を描く者としては本当に慌ただしい毎日でした。
生花店で買える花と違って、今年に描けなければ、野草は来年の開花を待ちます。
実はこの記事も、スミレの花を追って来た裏磐梯の山奥で書いています。
磐梯高原は残雪あり、5月上旬でもオオヤマザクラやスミレが咲いている季節。
凍えるような空気の中でたくさんの種類のスミレを観察することができました。
「すみれ絵」展の展示作品をより深め、皆様にご高覧いただけるよう制作に励みます。
今後ともご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします
望月麻里
望月麻里
画家・イラストレーター
東京藝術大学美術学部絵画科
日本画専攻卒業
鎌倉市在住
mochizukimari.com
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giardino.art@gmail.com
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