窓下のナヴォーナ広場
ローマでの個展のための滞在、5日目の朝(2020年2月)。
ナヴォーナ広場 Piazza Navona に面した宮殿へ。
1791年にピウス6世が甥のために建てた館です。
この時は、ちょうどイタリアを代表する彫刻家の カノーヴァ Antonio Canova(1757-1822)の展覧会が開催中でした。
ヴェネト州の彫像家の家系に生まれたカノーヴァは、祖父や地元の支援でローマを拠点に古典や解剖学を学びます。
その後、ローマに残り、古典の優美さを持った作風で世界的に活躍。
ローマでは、彼の作品をいたるところで観る事ができます。
また、世界中の美術館や街中の記念碑などでも、彼の作品に出会えるでしょう。
今回の展覧会ではカノーヴァの作品や習作、デッサンなども観る事ができました。
カノーヴァに影響を受けたアートも展示されていました。
2019年春の滞在で、ローマ国立近代美術館 Galleria Nazionale d’Arte Moderna e Contemporanea カノーヴァの代表作「ヘラクレスとリカス」を鑑賞できたことも思い出しました。
売店で、カノーヴァ展には関係のないマグネットを購入。
後から気づいたけれど、大きなカーリーヘアはきっとアンティノウス。(原型を作っている工房を見てみたいな。)
カノーヴァ展の混雑ぶりに、ローマの人たちの関心の高さを感じました。
風邪をひいている方が多かったので、早々に会場を出て上階へ。
宮殿の上階はこじんまりした博物館。
美しいナヴォーナ広場のパノラマを見ることもできる、お気に入りの空間です。
展示のキャプションが丁寧な作りで参考になりました。
透け感のある大きなパネルに構成された展示のコンセプトと、パオロ・ソレンティーノ監督作品「 La grande belezza 」の一場面。
室内の現象を淡く映し出し、詩的な空間に。。。
クラシックなものが溢れるローマで、今を感じさせる素晴らしいデザイン、このデザイナーさん優秀です。
1世紀前のローマの人々の輝きを伝えるジョージズ・ルルー Georges Paul Leroux の作品(部分)、ローマのピンチョの丘を散歩する風景、遠景にサン・ピエトロのクーポラ。
美しいテラコッタの展示物は、1935年頃に破壊されたある家の装飾。
彫刻家のフィエーゾレ Michele Marini da Fiesole の作品と伝わります。
ローマでのフィエーゾレは、レオナルド・ダ・ヴィンチの師でもあるヴェロッキオと共に活動したそうです。
小さな欠片が、当時のローマの美しさを伝えます。
宮殿の窓からの眺め、遠くにサン・ピエトロのクーポラ。
サンタニェーゼ・イン・アゴーネ教会 Chiesa di Sant’Agnese in Agone の鐘の音と共に舞う鳩たち。浮遊感。
そして、窓からのナヴォーナ広場。
上質な美術作品に囲まれ、この広場をゆっくり眺めるひととき。
宮殿1階の大好きな カフェテリア で、搾りたてのオレンジジュースをいただいて帰りました。